カフェで、日向さんとお姉さんが久しぶりに話をしています。
家庭を守るお姉さんにとって、今は少々頭の痛い問題がある様子。
それは思春期にさしかかった娘の麻衣ちゃんとの親子関係。
夜更かしやスマホ依存、反抗的な態度に悩むお姉さんを前に、ライフ心理学アドバイザーである日向さんが、穏やかに耳を傾けます。
親子の葛藤に、心理学がどのようなヒントを与えてくれるのでしょうか?
お姉さん「素敵なカフェね。よく来るの?」
日向さん「前に1回来たことがあるだけかな。でも素敵だよね。で、最近どうなの、お姉ちゃん」
お姉さん「ちょっと麻衣のことで悩んでて…」
日向さん「うん、聞くよ。何かあった?」
お姉さん「麻衣(お姉さんの娘。日向さんの姪)がさ、毎晩のように夜更かししてるの。ボーイフレンドと電話ばっかりで…どう注意しても聞かないのよ」
日向さん「ボーイフレンドかぁ。中学生だもんね、気持ちはわかるけど…それで、麻衣ちゃんは何時まで起きてるの?」
お姉さん「2時とか3時とか。『もう寝なさい』って言っても『分かってる』って言いながら全然やめないし。次の日は朝起きるのも大変で、学校でも眠そうにしてるみたいなの。私もついカッとなって怒っちゃうから、最近はもう口を出すのも疲れてきて…」
日向さん「うんうん。それはストレス溜まるよね。お姉ちゃんも毎日お疲れ様だね」
お姉さん「ありがとう。でもさ、私がこうやって言うと、マユ(日向さんのこと)、すぐに心理学の話し始めるから…ちょっと今日はお手柔らかにね」
日向さん「うん、わかってるよ。今日はただお姉ちゃんの話を聞きたいと思ってるから」
お姉さん「ふふ、ありがと。まぁでも、実際どうすればいいのか分からなくてね。麻衣があんなふうに反抗するなんて、昔は考えられなかったんだけど…最近はちょっとしたことで言い合いになっちゃうの」
日向さん「それは辛いよね。親子関係って思春期になるといろいろ変わるものだから、戸惑うよね。私たちだってそうだったでしょ」
お姉さん「そうだったわね。今になって親の気持ちがわかるというか…。昔の麻衣はもっと素直だったのに…。今じゃ、スマホやボーイフレンドの話ばかりで、私の言うことなんて全然耳を貸さない。まるで私が敵みたいな扱いをされるのよ」
日向さん「うーん、それは辛いね。でも、麻衣ちゃんもきっと自分なりに悩んでる部分があるのかもね。夜更かしの話だけど、麻衣ちゃんが遅くまで起きているのって、もしかして『復讐的就寝遅延』かもしれないよ。あ、また心理学の話をしちゃったね」
お姉さん「いいのよ。何その、なんとか遅延って?」
日向さん「うん、『復讐的就寝遅延』。難しい言葉だよね。でも、実は簡単な現象なんだ。昼間、自分の時間があまり取れないとか、自由にできないって感じてると、その埋め合わせを夜にしちゃうことがあるの。だから、寝なきゃいけないって分かってても、夜更かしをして『自分の時間』を確保しようとしちゃうの」
お姉さん「なるほどね…。確かに麻衣、最近『忙しい』とか『私のこと分かってない』ってよく言ってる気がする」
日向さん「そういうとき、どう返してる?」
お姉さん「『そんなの理由にならないでしょ!』って感じで怒っちゃうことが多いかも…。結局、こっちも疲れてて、ちゃんと話し合う余裕がなくて」
日向さん「うん、その気持ちすごくわかるよ。でも、お姉ちゃんがこうやって気にかけてる時点で、ちゃんと麻衣ちゃんと向き合おうとしてるってことだと思う」
お姉さん「そう言ってもらえると少し気が楽になるけどね。でも、どうしても感情的になっちゃって…。私、どこかで『母親だからちゃんとしなきゃ』って思いすぎてるのかもしれない」
日向さん「それも当然の感覚だよ。親としての責任感があるからこそ、ちゃんとしなきゃってプレッシャーを感じるわけでさ。でも、もしかしたらアクティブリスニングを使ってみるといいかも」
お姉さん「アクティブリスニング…?ああ、前に聞いたやつだっけ。相手の話を最後まで聞くってやつ?」
日向さん「そう、それ。麻衣ちゃんの話を遮らずに、まずは聞いてみるの。『そうなんだ、そんな風に感じてるんだね』って相手の気持ちを受け止める感じかな。そうすると、麻衣ちゃんも『自分の気持ちを理解してくれた』って感じやすくなるんじゃない?」
お姉さん「でも、そうやって聞いても、結局はスマホをやめてくれないっていうオチじゃないの?」
日向さん「うん、そこが難しいところだよね。でも、アクティブリスニングは解決策をすぐに見つけるためというより、まずはお互いの気持ちを理解し合うためのステップだと思って。麻衣ちゃんが感じてる不安やストレスを理解してから、次にどうするかを一緒に考えることができるかもしれないよ」
お姉さん「そっかぁ…。でもさ、話を聞いてるうちに、つい我慢できなくなって『いい加減にしなさい!』って怒っちゃいそうだよ」
日向さん「それもよくあることだよ。お姉ちゃんが感情的になるのも自然なことだから、自分を責めなくて大丈夫。逆に、感情をうまく整理するために、麻衣ちゃんに感情日記をつけてもらうのも手かもしれないね」
お姉さん「感情日記?それも聞いたことあるような…」
日向さん「うん、これは麻衣ちゃんが感じていることを日記に書いてもらうだけ。『今日はこう感じた』とか、『この出来事でイライラした』っていうのを毎日少しずつ書いていくんだ。そうすると、自分の感情を客観的に整理できるようになるんだよ」
お姉さん「なるほど…。麻衣にやらせてみようかな。でも、書いてくれるかな」
日向さん「そこは少し工夫が必要かもね。麻衣ちゃんに『書かせる』んじゃなくて、『自分の感情を整理してみよう』って誘導する感じかな。無理にやらせようとすると、反発されちゃうだろうし」
お姉さん「確かに…。でも、やっぱりボーイフレンドとの電話もどうにかしてほしいわ。夜遅くまで話して、次の日はヘトヘトなのに、全然やめる気がないんだから」
日向さん「うん、そこも難しいよね。もしかしたら、彼との電話の時間を少し調整できないか、麻衣ちゃんに提案してみるのはどうかな。たとえば、『9時までには電話を終わらせよう』って決めるとか。彼も麻衣ちゃんのことを大事に思っているだろうし、麻衣ちゃんの健康を考えれば、協力してくれるかもしれない」
お姉さん「そうだといいんだけど…。麻衣、ボーイフレンドの話が長いって言ってたから、それも大変そうよ」
日向さん「うん、その話も聞いたことがあるよ。彼もたぶん、話すことで安心感を得てるんだと思う。でも、お姉ちゃんも、麻衣ちゃんも、お互い無理しすぎない範囲でやってみたら」
お姉さん「…うん、少し試してみようかな。感情日記とアクティブリスニング、やってみる価値はありそう」
日向さん「私も麻衣ちゃんと話してみるよ。たまにはおばさんの立場から話すと、また違った反応があるかもしれないし」
お姉さん「それは助かるかも。私が話すとどうしても感情的になっちゃうし、マユなら冷静に話せるものね」
日向さん「うん、そうしてみるね。麻衣ちゃんとの関係が少しずつ良くなれば、お姉ちゃんも気持ちが楽になるんじゃないかな」
お姉さん「そうだね、ありがとうマユ。話して少し気が楽になったよ」
日向さん「よかった。何かあったらいつでも声かけてね。お姉ちゃんが頑張ってるの、ちゃんと知ってるから」
お姉さん「やっぱり心理学の話になったわね。マユは本当に心理学、好きだね」
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今回の学び 子供の夜更かしや反抗は、自分の時間を確保しようとする「復讐的就寝遅延」や自立心の表れかもしれません。まずは相手の話を否定せずに聞く「アクティブリスニング」で信頼関係を築き、感情を整理する手助けをすることが解決への第一歩です。 |



