「暑くて頭が回らない……」連日の酷暑で家事の手が止まってしまい、自分を責めていませんか?
今回は、マンションの隣人同士である専業主婦の山崎さんと、ライフ心理学アドバイザーの日向マユさんの対話から、暑さが脳のパフォーマンスを奪う仕組みと、賢い「適応」のコツを探ります。
これからの地球環境の中で、あなたの「やる気」を守るための心理適応戦略をお届けします。
山崎さん「(ベランダでぐったりしながら)日向さん、こんにちは……。今日もひどい暑さね。洗濯物を干すだけで、もうエネルギーを使い果たしちゃったわ」
日向さん「本当ですね。この熱気だと、外に出るだけで体力が削られる気がします」
山崎さん「そうなの。情けないんだけど、掃除も料理もやる気が出なくて。夕食の献立すら決められずに、さっきからずっとソファでぼーっとしてるのよ。私、なんて怠け者なんだろうって落ち込んじゃう」
日向さん「山崎さん、それは『怠け』じゃないんですよ。実は心理学的に見ると、脳が『省エネモード』に入っているだけなんです」
山崎さん「省エネモード?」
日向さん「ええ。人間が1日に使える脳のエネルギー……『認知リソース』には限りがあります。暑い時期は、脳が体温を下げるための命令を出すことにそのリソースを大量に消費してしまうんです。だから、思考や決断に回せる分が残っていない、いわば脳が『熱中症』のような状態になっているんですよ」
山崎さん「脳が熱中症……。だから、いつもならすぐ決まる献立が、100メートル走をしているくらい負担に感じるのかしら」
日向さん「まさにそうです。特に山崎さんのように『しっかり家事をしなきゃ』と考える完璧主義な方ほど、リソースが足りない時に『何から手をつければいいか』と脳がフリーズしやすいんです。これが『思考停止』の正体ですね」
山崎さん「そう言われると、少し気が楽になるわ。でも、このままじゃ何も進まないし、どうすればいいの?」
日向さん「この暑さの中では、脳を働かせない『適応戦略』が有効です。まず、判断の数を徹底的に減らしましょう。たとえば、暑い日は『月曜は麺類、火曜はカレー』というように、献立を完全にルーチン化して固定してしまうんです。これで毎日20分悩んでいた時間をゼロにできます」
山崎さん「なるほど、決めておけば悩まなくて済むわね」
日向さん「あとは、家事に取りかかる10分前に保冷剤などで首筋を冷やす『プレ・クーリング』もおすすめです。物理的に脳の温度を下げてあげることで、動けなかった30分を、集中できる15分に変えることができますよ」
山崎さん「まずは冷やして、悩まず動く仕組みを作るのね。やってみるわ」
日向さん「はい。夏の間はパフォーマンスが5割落ちるのが当たり前、と考えて『十分で良い』と自分を許してあげてくださいね」
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今回の学び 暑さによる無気力は性格のせいではなく、脳のエネルギーが体温調節に奪われているために起こる生物学的な現象です。献立の固定化などで「決断の数」を減らし、物理的に脳を冷やすことで、酷暑の世界でも自分を責めずに生活を維持する「心理的適応」が可能になります。 |
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