「一度にいくつもの仕事をこなせない」「電話をしながらメールを打つと、どちらかでミスをしてしまう」……。
そんな自分を「能力不足」と責めてはいませんか?
人間の脳の仕組みを知れば、マルチタスクが苦手なのは当然のことかもしれません。
今回は、外資系金融機関で激務をこなす完璧主義な根津さんと、ライフ心理学アドバイザーの日向マユさんの対話をお届けします。
私たちの脳にある「作業記憶(ワーキングメモリ)」の限界を知り、効率を最大化する「シングルタスク」の知恵を学びましょう。
日向さん「(カフェの窓際で)根津っち、おはよう! 今日は一段とスマホと睨めっこしてるわね」
根津さん「あ、ヒナちゃん、おはよう。ごめんね、メールを打ちながら次の会議の資料を確認して、ついでにスケジュールの調整も……ってやってたら、なんだか頭が真っ白になっちゃって。昔はもっと器用にできた気がするのに、最近マルチタスクが全然ダメ。私、能力が落ちたのかしら」
日向さん「(優しく微笑んで)それは根津っちの能力のせいじゃないわよ。心理学や脳科学の視点から見ると、そもそも人間の脳は『シングルタスク』仕様にできているんだから」
根津さん「えっ、そうなの? でも、世の中にはバリバリ複数の仕事を同時にこなしてる人もいるじゃない」
日向さん「実はね、マルチタスクに見える行動も、実際には脳が同時進行しているわけじゃなくて、高速でタスクを切り替えているだけ(タスク・スイッチング)なの。でもね、切り替えるたびに脳のエネルギーである『認知リソース』を大量に消費してしまうのよ」
根津さん「認知リソース……脳のガソリンみたいなもの?」
日向さん「そう! 私たちの脳には『作業記憶(ワーキングメモリ)』っていう、一時的に情報を置いておく机のような場所があるんだけど、その広さには限界があるの。マルチタスクをしようとすると、机の上に一度に大量の書類を広げすぎて、結局何も手につかなくなっちゃうのよ。……(ハッとして)あ、ごめんなさい! また聞かれてもないのに講義みたいになっちゃった」
根津さん「(くすっと笑って)いいのよ、ヒナちゃん。今日ばかりは助かったわ。私、完璧主義なところがあるから、『全部同時に完璧にやらなきゃ』って自分を追い込んで、余計に脳をフリーズさせてたみたい」
日向さん「根津っちは本当に頑張り屋さんだもんね。対策としてはね、一度に一つだけに集中する『シングルタスク化』が一番よ。大きな仕事は『小さく分ける』こと。例えば資料作成なら、まずは『構成案だけ作る』という風に小分けにして、その瞬間はそれ以外のことを考えないようにするの」
根津さん「小さく分ける……。確かに、そう言われると一つずつならできそうな気がしてくるわ。まずは目の前の一個に集中ね」
日向さん「その通り! じゃあ、まずはそのスマホを鞄にしまって。今のタスクは『私と一緒に美味しいコーヒーを飲むこと』だけにしてみない?」
根津さん「ふふ、了解。それが一番贅沢なシングルタスクね」
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今回の学び 人間の脳の「ワーキングメモリ」には容量に限界があり、マルチタスクによる頻繁な切り替えは「認知リソース」を枯渇させ、パフォーマンスを劇的に低下させます。 一つの作業に没頭する「シングルタスク」を意識し、タスクを小分けにすることで、脳の疲れを抑え、結果として質の高い成果を出すことが可能になります。 |
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