日常の中で、ふと心が揺れる瞬間は誰にでも訪れるものです。
今回の物語の主人公は、ライフ心理学アドバイザーとして活躍する日向マユさん。
真面目で教えたがりな性格が時に裏目に出ることを悩みつつも、自身や他人の心に寄り添いながら前向きに歩む彼女が、今回は自分の「教えたがり」な性格にまつわる小さな出来事に心を乱されます。
そんな日向さんが訪れたのは、都内の猫カフェ「CatTail」。
そこでは、明るく親しみやすい店長の村松さんが、猫たちと共に訪れる人々を温かく迎え入れています。
過去にストレスを抱えながらも、猫への愛から転職を果たした村松さんは、日向さんにとって頼れる存在です。
閉店後の静かな猫カフェで、猫たちの穏やかな気配に包まれながら、二人の心が触れ合う対話が始まります。
心理学と猫という意外なテーマが交差する中で、読者の皆さんも、自分らしく泣いたり笑ったりすることの大切さに気づくかもしれません。
日向さん「こんばんは、村松さん。今日もミィちゃん、元気そうですね」
村松さん「日向さん、いらっしゃいませ。ミィちゃん、日向さんのこと覚えてますよ。ほら、すぐ寄ってきました。いつもお膝を狙ってるんですから」
日向さん「本当ですね。今日は、ちょっと気分転換したくて来てしまいました」
村松さん「いいんです、いいんです。そんなときこそ猫たちに癒されに来てください。…あれ、今日は少し元気がないように見えますが?」
日向さん「自分の性格が嫌になる出来事があって」
村松さん「嫌になる?日向さんが?なんだか想像つかないです。日向さんって、いつも前向きで、むしろ私が見習いたいくらいの人なのに」
日向さん「ありがとう、そう言ってもらえるのは嬉しいです。でも、じつはダメダメで。たとえば、私ってどうしても“教えたがり”なんですよね。心理学の話になると、つい相手の話を聞く前に、自分が話したいことを押しつけちゃう」
村松さん「前にそういうことを気にしてるっておっしゃってましたね。でも、それって悪いことなんですか?」
日向さん「そう言ってもらえるのも救われます。でも、このあいだね、ある人と仕事の話をしてたとき、その“教えたがり”が出ちゃったんです。そしたら、大木さんに『少し理屈っぽいかもね』って言われて…。軽い一言だったんですけど、なんだか心に刺さって」
村松さん「その人、大木さんっていうんですね。大木さんって、彼氏ですか」
日向さん「私、名前いいました?いえ、彼氏とまではいえないんですけど、ちょっと気になる人ではあって。それなのに、自分の性格の悪いところを見せちゃったから、『またやっちゃったな』って、泣きそうになりました」
村松さん「なるほど。好意を持っている人からの言葉って、いつも以上に重く響くものですもんね。でも、泣いたっていいじゃないですか。猫だって気に入らないときはすぐ泣きますよ。にゃーって」
日向さん「ふふっ、それは確かに。泣きたくなるのは自然なことかもしれないですね。でも、こういう自分の未熟な部分を見ると、なんだか自己嫌悪に陥るんです」
村松さん「自己嫌悪…私も経験ありますよ。猫カフェを始めたばかりの頃、常連のお客様に『なんだか無理して明るくしてませんか?』って言われたことがあって。その時は『どうしてそんな風に見えるんだろう』って落ち込みました」
日向さん「村松さんも、そんなことがあったんですか?」
村松さん「ええ。でも、それをきっかけに考えたんです。『自分の良いところや頑張りって、いつも他人には伝わるとは限らないな』って。それからは『無理して見られるのも自分の一部かも』と思うようにしました」
日向さん「なるほど…。確かに、自分の欠点って、どうしてもなくそうとすることばかり考えちゃいます。でも、それも自分の一部だって受け入れるのは大事ですね。心理学には『自己受容』っていう概念があるんです。自分の長所も短所もそのままの姿で受け入れることで、人間はもっとストレスから解放されるっていう考えです。でも、それが難しいんですよね。…きゃー、私の欠点が出ちゃった。こういうところなんですよ」
村松さん「日向さん、かわいいですよ!でも『自己受容』かあ…言葉では簡単そうだけど、実際は難しいですよね。でも、自分のことを理解して受け入れるって、とても大事なことだと思います」
日向さん「ええ。それができていないと、他人との関係でも無意識に自分を守ろうとしたり、過剰に防衛的になっちゃうこともあるし」
村松さん「つまり、日向さんが今悩んでるのも、少しずつ成長してる過程なんですね」
日向さん「そう言われると、少し気持ちが楽になります。確かに、心理学を学ぶきっかけになったのも、もっと人を助けたいと思ったからなんです」
村松さん「それが日向さんの魅力です。理屈っぽいって言われてもいいじゃありませんか。それだけ熱意が伝わっている証拠ですよ」
日向さん「あ、そういえば、村松さん。教えたがりついでに、『共感』って猫と人間関係の共通点があるってご存じ?心理学で言う『共感性』って、相手の感情を正確に理解して共有することなんですけど、猫もそれにすごく長けてるんです。飼い主の気分を察して寄り添うのが得意ですよね」
村松さん「うちのミィちゃんなんか、お客様が落ち込んでるときはずっとそばにいてくれるんです。心理学と猫って、やっぱり通じるところがあるんですね。日向さん、そのお話、ぜひブログにも書いてほしいです」
日向さん「ありがとうございます。今度、大木さんに会ったときは、もう少し素直な自分を見せてみようかな」
村松さん「それがいいと思いますよ。猫みたいに、あるがままに」
|
今回の学び 自分の欠点や弱さも自分の一部として認める「自己受容」が、心の安定には不可欠です。猫のようにありのままの感情を表現し、相手に共感することで、無理のない自然体な人間関係を築くことができます。 |



