ピアノの先生の心理学

心理学は、私たちの日常生活のさまざまな場面で役立つ知恵の宝庫です。

今回は、自宅でピアノ教室を営む堀田さんと、ライフ心理学アドバイザーの日向さんとの対話を通じて、音楽教育の現場における心理学の活かし方をご紹介いたします。

同じヨガ教室に通う二人の何気ない会話の中から、心理学の実践的な価値が見えてきます。

保護者との関係に悩む堀田さんと、そっと寄り添いながらアドバイスを送る日向さん。

心理学の知恵が、人と人との関係をどのように変えていくのか。

そんなちょっと素敵なお話をお届けいたします。

堀田さん「いつも相談に乗っていただいて、申し訳ないです」

 

日向さん「堀田さん、そんなに気になさらないでください。ヨガの後のお茶って、ちょうどいい息抜きになりますから」

 

堀田さん「でも、毎週のように相談してしまって」

 

日向さん「私もヨガ仲間とこうしてゆっくりできて嬉しいです。それより、前回お話しされていた保護者の方との件は、その後いかがでしたか?」

 

堀田さん「それが、山田さんのお母様が、他の保護者の方にも不満を漏らしているみたいで」

 

日向さん「差し支えなければ、具体的にどんな不満なのか、教えていただけますか?」

 

堀田さん「はい。『練習の時間が足りない』『もっと厳しく指導すべき』といった内容です。でも、山田くんはまだ小学3年生ですし」

 

日向さん「なるほど。堀田さんご自身は、山田くんの指導についてどのようにお考えですか?」

 

堀田さん「私は、生徒一人一人の個性に合わせた指導を心がけていて。山田くんは少し緊張しやすい子なので、まずは楽しく練習できる環境を作りたいと思っているんです」

 

日向さん「(少し前のめりになって)そうですよね!発達心理学でも、子どもの年齢や個性に応じた…あ、すみません。つい熱くなってしまいました」

 

堀田さん「いいえ、日向さんの心理学のお話、いつも勉強になります。前回教えていただいた『積極的傾聴法』も、保護者の方との面談で実践してみたんですよ」

 

日向さん「あら、実践してくださったんですか?どうでしたか?」

 

堀田さん「はい。『なるほど、そういう思いがおありなんですね』って、相手の気持ちを言葉にして返してみたら、保護者の方の表情が和らいだような気がして」

 

日向さん「(嬉しそうに)そうなんです。相手の気持ちを受け止めることから、良い関係は始まるんですよね」

 

堀田さん「でも、山田さんのお母様の場合は、なかなか難しくて。先日の発表会の後から、特に厳しい意見が増えて」

 

日向さん「発表会で何かありましたか?」

 

堀田さん「はい…。山田くんが緊張してしまって、演奏中に少し止まってしまったんです。でも、その後自分で立て直して、最後まで弾ききったんですよ」

 

日向さん「それは立派じゃないですか」

 

堀田さん「私もそう思うんです。でも、お母様は『もっと練習させるべきだった』と」

 

日向さん「(少し考えて)堀田さん、山田くんのお母様と、改めてお話する機会は設けられますか?」

 

堀田さん「はい、来週の月曜日にレッスンがありますから…」

 

日向さん「もしよろしければ、ちょっとした提案があるのですが」

 

堀田さん「ぜひお聞かせください」

 

日向さん「山田くんが発表会で見せた『立ち直る力』、これって素晴らしい成長だと思うんです。お母様にも、そういった視点でお子さんの成長を見ていただけると」

 

堀田さん「確かに、前回の発表会では止まってしまうと最後まで弾けなかったんですが、今回は自分で立て直せた」

 

日向さん「そうなんです。心理学では、そういった『できなかったことができるようになる』というプロセスを、とても重視するんです」

 

堀田さん「なるほど。お母様にも、山田くんの成長という視点でお話ししてみようかと思います」

 

日向さん「はい。あとは…(少し躊躇して)すみません、また私、アドバイスしすぎてしまいそうで」

 

堀田さん「(笑顔で)いいえ、日向さんのアドバイス、とても参考になります。実は…ライフ心理学アドバイザーの講座のことも少し気になっていて」

 

日向さん「(明るく)あら、興味を持っていただけたんですか?」

 

堀田さん「はい。生徒さんや保護者の方との関係で、心理学の知識が活かせる場面が多いなと感じて。でも、教室の運営と両立できるか少し不安で」

 

日向さん「ご安心ください。講座は段階的に学べる構成になっていますし…あ、また私、熱くなってしまいそうです(苦笑)」

 

堀田さん「(くすっと笑って)日向さんのその情熱、私は好きですよ。来週、山田くんのお母様とお話しした後、また相談に乗っていただけますか?」

 

日向さん「もちろんです。ヨガの後、またここでお茶しましょう」

 

堀田さん「ありがとうございます。そうそう、今日のヨガで、はじめて『木のポーズ』が決まったんですよ!」

 

日向さん「私も見ましたよ!堀田さん、バランス感覚いいですよね。ピアノを長年されているからかしら」

 

堀田さん「えへへ、それ、すごく嬉しいです。来週も頑張ります!」

 

 

今回の学び

他者との関係構築においては、相手の不満や意見を否定せず受け止める「積極的傾聴」が有効です。また、失敗そのものではなく、そこから立ち直るプロセスに注目し評価することで、相手(生徒や保護者)との信頼関係を深め、成長を促すことができます。