「どうせ自分(ボク、ワタシ)には無理…」
算数の宿題をめぐって子供がつぶやくその言葉に、多くの親御さんが心を痛めているのではないでしょうか。
今回は、小学4年生の息子さんの算数嫌いに悩むある母親と、ライフ心理学アドバイザーの対話をご紹介します。
登場人物は、ライフ心理学アドバイザーの日向さんと、小学生のお子さん2人を育てる菊池さん。
2人は同じヨガ教室に通う仲間同士です。
算数への苦手意識、親としての不安、そして子供の気持ち。
心理学の視点から紐解く、親子で乗り越える算数との向き合い方をお届けします。
日向さん「このお茶セット、とても素敵ですね」
菊池さん「ありがとうございます。母の自慢なんです。日向さん、今日はお時間を取っていただいて…」
日向さん「いいえ。先週、翔太くんの算数のことで気になっていましたから」
菊池さん「そうなんです…先週は母の家で大変なことになってしまって。翔太が算数の宿題で投げやりになって、私も思わず大きな声を出してしまって…」
日向さん「毎週水曜はご実家で夕飯なんですよね?」
菊池さん「ええ。子供の送り迎えを母が手伝ってくれるので、私がヨガに通えるんです。本当は子育て中にヨガなんてなかなか難しいんですけど…3ヶ月前に腰を痛めてから、母に勧められて」
日向さん「お母様も腰を悪くされたことが?」
菊池さん「ええ。だから私も子供のために、同じ轍は踏めないなって」
日向さん「なるほど…。それで、翔太くんの算数の件ですが、具体的にどんな様子なんですか?」
菊池さん「宿題を見ようとすると『どうせできない』って言うんです。前は『難しい』とか『わからない』だったのに、最近は『どうせ』って言葉が増えて…」
日向さん「なるほど…。私、ちょっと教えすぎてしまうところがあるので気をつけないといけないんですが、もし良ければ心理学的な視点からお話してもいいですか?」
菊池さん「ぜひお願いします。私も算数が苦手でした」
日向さん「あ、菊池さんも算数が苦手だったんですか?」
菊池さん「ええ。特に分数になってから…。今でも翔太の宿題を見るとき、自信がないんです」
日向さん「そこが重要かもしれません。お母様の気持ちが子供に伝わることってありますよね」
菊池さん「私の不安が翔太に…?」
日向さん「はい。心理学では『情動の伝染』という現象があって…あ、すみません。また講釈を始めそうになってしまいました」
菊池さん「いいえ、聞かせてください。私、日向さんの説明、いつもわかりやすいなって思ってます」
日向さん「ありがとうございます。では…翔太くんの『どうせできない』という言葉、これは学習性無力感という状態かもしれません。特に算数は、つまずきが次の学習に影響しやすい教科なんです」
菊池さん「そういえば、分数の前の単元から様子が変わってきたような…」
日向さん「具体的には、いつ頃からでしょうか?」
菊池さん「そうですね…小数の掛け算が始まった頃からです。私もあのころ、小数の掛け算って、なんでそうなるのかよくわからなくて…」
日向さん「なるほど。算数って、他の教科と少し違う特徴があるんです。例えば国語は、物語の要約がちょっと違っても『その解釈も面白いね』って言える。でも算数は…」
菊池さん「答えが合ってるか間違ってるか、はっきりしてますよね」
日向さん「そうなんです。だから『できる・できない』が明確で、苦手意識も持ちやすい。でも、それは裏を返すと…」
菊池さん「裏を返すと?」
日向さん「『できた!』という実感も得やすいということなんです。小さな成功体験の積み重ねが、とても効果的な教科でもあるんです」
菊池さん「でも、どうやって成功体験を…」
日向さん「例えば、問題を細かく分けてみるのはどうでしょう?小数の掛け算なら、まず位取りの確認だけから始めるとか」
菊池さん「あ、それなら私にもできそう。私も位取りだけなら自信があります」
日向さん「それはとてもいいですね。お母様に自信があるところから始めると、翔太くんにも良い影響があるかもしれません」
菊池さん「確かに…今まで『これ、難しいよね』って共感ばかりしてた気がします」
日向さん「あ、でも共感も大切です!ただ、そこから一歩進んで『じゃあ、ここならできそうだね』という展開ができると…すみません、また熱くなってしまいました」
菊池さん「いいえ、とても参考になります。本当に心強いです」
日向さん「私こそ、菊池さんのお話から学ばせていただいています。…あ、そろそろお子さんたちの宿題の時間じゃないですか?」
菊池さん「ですね。今日から、翔太の『できた!』探しをしてみます」
日向さん「来週また進展を聞かせてください」
菊池さん「はい。ヨガでお会いできるのを楽しみにしています」
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今回の学び 子供の「どうせできない」という言葉は、学習性無力感のサインかもしれません。問題を細分化して小さな「できた!」を積み重ねることで、成功体験を増やし、親自身の不安を伝染させないよう自信を持ってサポートすることが大切です。 |



