近年、企業研修に従来とは異なる斬新なテーマを取り入れる動きが活発化しています。その中でも、日常的な事象を心理学の視点から分析し、社員の自己理解やチームワーク向上に役立てようという試みが注目されています。
本記事では、ライフ心理学アドバイザーとして活躍する日向さんと、社員研修の企画担当者である戸沢さんの対話を追っていきます。前回、怪談をテーマにした研修を実施し、好評を得た戸沢さんは、日向さんに新たなテーマの相談を持ちかけます。それは、近年のサウナブームを背景に、サウナ体験が持つ心理的な効果を研修に活用できないかという斬新なアイデアでした。
日向さんの専門知識と、戸沢さんの熱意あふれる企画力が出会い、社員研修の可能性を大きく広げていく対話の模様を、ぜひお楽しみください。
日向さん「戸沢さん、その後、社員研修の企画は進んでいますか?この前は怪談の心理学についてお話しましたけど、何か面白い発見はありましたか?」
戸沢さん「日向さん、覚えていてくださったんですね!あの後、怪談を取り入れた研修を実際にやってみたんです。そしたら、予想以上に好評で!研修の後も、あの時の話が面白かったって話題になって、社員同士のコミュニケーションが活発になったんですよ」
日向さん「それは良かったですね!やっぱり、恐怖体験を共有するのって、心の距離を縮める効果があるんですね」
戸沢さん「はい、本当にそう感じました。それで、調子に乗って次の研修テーマも考えているんですけど…実は、最近サウナが流行っているじゃないですか。あれも、何か心理学的に面白い要素があるんじゃないかと思って」
日向さん「サウナですか!面白いですね〜。確かに、サウナって独特な空間ですよね。高温に耐えたり、水風呂で冷やしたり、あの独特な体験の中に、何か心理的なメカニズムが隠されているかもしれませんね」
戸沢さん「そうなんですよ!例えば、サウナって高温で辛いはずなのに、なぜかまた入りたくなる。あの仕組みって、心理学で説明できるんでしょうか?」
日向さん「そうですね…サウナの高温環境は、体に大きなストレスを与えるので、交感神経が優位になって、心拍数が上がったり、血管が収縮したりします。でも、その後水風呂に入ると、今度は副交感神経が優位になって、リラックス状態になる。この急激な変化が、脳内ではドーパミンやエンドルフィンといった快感物質の分泌を促すと言われています。だから、サウナから出た後、幸福感や高揚感を感じやすくなるんです」
戸沢さん「なるほど!だから、サウナに入るとスッキリするんですね。ストレス解消にも効果がありそう」
日向さん「ええ、その可能性は高いですね。それに、サウナ中は静かに瞑想する人も多いですよね。あの状態って、実はマインドフルネスの実践に近いかもしれません。呼吸に意識を集中したり、体の感覚に意識を向けたりすることで、雑念が払われて、心が穏やかになる効果が期待できます」
戸沢さん「確かに、サウナに入っている間は、仕事のことも日常の悩みも忘れて、ただただ“今”に集中している気がします」
日向さん「まさに、それがマインドフルネスの効果なんです。サウナは、日常生活で生まれたモヤモヤした気持ちをリセットして、心をクリアにする効果も期待できるんですね」
戸沢さん「うーん、深いですね…。じゃあ、サウナを社員研修に取り入れるとしたら、どんな点に注意すればいいでしょうか?」
日向さん「そうですね…まず、サウナに入る目的を明確にすることが大切です。ストレス解消?リフレッシュ?チームビルディング?目的がはっきりすれば、それに合ったプログラムを組むことができます」
戸沢さん「なるほど、目的を意識することが大切なんですね。研修でサウナに行くなら、単なるレクリエーションではなく、何か学びを持ち帰ってもらいたいと思っていました」
日向さん「素晴らしいですね。それから、サウナ中は自己観察を促してみるのも良いかもしれません。心拍数の変化や呼吸、体の感覚…そういった変化に意識を向けることで、自分自身の状態をより深く理解することができます」
戸沢さん「自己観察ですか。確かに、普段は自分の体の変化に意識を向けることって少ないですからね。新しい発見がありそう」
日向さん「ええ、そして、サウナ後のリラックスした状態は、コミュニケーションを促進する絶好の機会です。日頃の仕事の悩みや、プライベートな話…普段はなかなか話せないことも、サウナの後なら自然と話せるかもしれません」
戸沢さん「確かに!研修でサウナに行くなら、サウナ後の時間も有効活用したいですね。でも、サウナって『裸の付き合い』じゃないですか。社員によっては抵抗を感じる人もいるかもしれません…」
日向さん「そうですね。確かに、全員が抵抗なく楽しめるかどうかは、事前に確認が必要です。ただ、社会心理学的には、あの『裸の付き合い』は、とても興味深い現象なんです。社会的な役割や地位を一時的に脱ぎ捨てて、みんな平等な立場で接することで、共感や親密性を促進する効果があると言われています」
戸沢さん「なるほど…。確かに、役職や立場関係なく、フラットな関係で話せるのは、サウナの良いところかもしれませんね」
日向さん「ええ、それに、サウナのマナーとして、静かに過ごすことが求められますよね。それも、心を落ち着かせて内省したり、周囲の人への気遣いを意識したりする良い機会になると思います」
戸沢さん「確かに、サウナでは自然と周りの人に気を配るようになりますね。普段の仕事中でも、あの感覚を忘れずにいたいものです」
日向さん「ふふっ、そうですね。あ、そうそう、社員の方のなかにサウナを通して心理学に興味を持った方がいたら、その方にぜひ日本心理学普及協会の活動もチェックしてもらうよう、お伝えください。心理学を日常生活に活かすためのヒントがたくさん詰まっていますよ」
戸沢さん「ありがとうございます!この前の怪談の話も、今回のサウナの話も、すごく勉強になりました。また何か困ったら、相談させてください!」
日向さん「もちろんです!いつでもウェルカムですよ。戸沢さんの社員研修が、社員の皆さんにとって有意義なものになるよう、私も陰ながら応援していますね」
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今回の学び サウナによる温冷交代浴は自律神経を刺激し、幸福感をもたらす脳内物質の分泌を促します。また、社会的地位を脱ぎ捨てた「裸の付き合い」はフラットなコミュニケーションを促進し、マインドフルネスに近い瞑想的なリラックス効果も期待できます。 |



