声は、人の心に直接働きかける力を持っています。
声優という職業は、その力を最大限に活かし、キャラクターに命を吹き込む、とても創造的な仕事です。
今回は、ライフ心理学アドバイザーの日向さんと、声優を目指す大学生の中村さんとの会話をお届けします。
心理学の知識を持ちながらも感情表現に悩む中村さんと、時に熱心すぎる心理学の解説を自制しながらも、優しくアドバイスを送る日向さん。
2人の対話を通じて、心理学が私たちの生活や夢の実現にどのように役立つのか、一緒に考えてみましょう。
中村さん「あの、今日は相談に乗っていただき、ありがとうございます」
日向さん「いいのよ。ヨガの後にね、こうしてカフェでゆっくりお話するのが好き。それで、どんなことで悩んでいるの?」
中村さん「はい。声優養成所のオーディション、また落ちてしまって…」
日向さん「そう。残念ね」
中村さん「今回も『感情表現が硬い』って言われて。私、大学で心理学を専攻してるのに、なぜか感情表現が上手くできないんです」
日向さん「心理学の知識と実践は、また違うものかもしれないわね」
中村さん「そうなんでしょうか?」
日向さん「例えば、私、週に1回料理教室に通ってるんだけど、レシピを完璧に覚えていても、実際に作るとうまくいかないことってけっこうあるのよ」
中村さん「そうなんですね」
日向さん「感情表現も同じかもしれない。理論としては理解していても、それを声に乗せて表現するのは、また別のスキルなのかもしれない」
中村さん「なるほど。でも、どうすれば改善できるんでしょうか?」
日向さん「そうねぇ…。中村さんは、演じる時にどんなことを考えているの?」
中村さん「えっと、キャラクターの設定とか、場面の状況とか…」
日向さん「それが少し客観的すぎるかもしれないわね。感情って、もっと主観的なものだから」
中村さん「主観的、ですか?」
日向さん「そう。例えば、ヨガのときを思い出してみて。初めて難しいポーズができた時、どんな気持ちだった?」
中村さん「嬉しくて、笑顔になりました!」
日向さん「その時の気持ち、今でも覚えてる?」
中村さん「体が温かくなって、胸がキュンとして…あ!」
日向さん「気づいた?その『体験としての感情』を思い出せることが大切。心理学では…あ、ごめんなさい。また私、講義みたいになりそう」
中村さん「私、日向さんの説明、いつも分かりやすいって思ってます」
日向さん「(嬉しそうに)ありがとう。…実は、感情には『知識としての理解』と『体験としての理解』があるの。声優さんに必要なのは、後者かもしれないわね」
中村さん「体験としての理解…。私、いつも頭で考えすぎかもしれません」
日向さん「感情って、体で覚えるものでもあるからね。あ、ごめんなさい。興奮しちゃった」
中村さん「日向さん、心理学の話になると目が輝くんですよね」
日向さん「やっぱり分かる?気をつけてるんだけど」
中村さん「その熱意があるから、こうして私も前向きになれるんです。今日も日向さんに相談したら、きっと何かヒントをもらえると思って…」
日向さん「中村さん、いいこと言うね。でも、今回の発見は、中村さん自身の気づきよ」
中村さん「次のオーディション、感情を『体験として理解する』ことを意識してみます。それと…もしよければ、これからも相談に乗っていただけませんか?」
日向さん「もちろんよ。でも、あまり私の話が長くなったら、遠慮なく止めてね(笑)」
中村さん「はい、止めてみせます」
日向さん「止めるんかい(笑)」
中村さん「あ、いえ…(笑)。来週の水曜日のヨガも来られますか?」
日向さん「ええ、もちろん。その後でまた話せたらいいわね」
中村さん「今日は本当にありがとうございました」
日向さん「中村さんなりの、心理学を活かした表現を見つけてね」
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今回の学び 感情表現において、頭でっかちな「知識としての理解」だけでなく、身体感覚を伴う「体験としての理解」が重要です。過去の感情体験を五感で思い出し、それを表現に乗せることで、よりリアルで心を動かす演技が可能になります。 |



