敵の心を読む心理学

将棋は、ただのゲームではありません。

一手一手が相手の心を読み、戦略を巡らせる心理戦でもあります。

その奥深さに魅了される人は少なくありませんが、「相手の心を読む」というテーマは将棋に限らず、私たちの日常生活にも通じるものがあります。

今回の記事では、

心理学アドバイザーの日向さん

IT企業で営業職を務めながら将棋を趣味とする石井さん

2人の対話を通じ、「敵の心を読む」という心理学の視点を紹介します。

日向さん「今日も将棋教室、楽しかったー。石井さん最近、すっかり上達したんじゃないですか?」

 

石井さん「ありがとうございます、日向さん。でもまだまだだなぁ。終盤になると相手の手が全然読めなくなります。相手がどう考えているか、もっと分かるようになりたいですね」

 

日向さん「将棋って相手の心を読むゲームでもありますからね。心理学的にも面白いテーマです」

 

石井さん「心理学と将棋」

 

日向さん「例えば、プロ棋士は対局中に相手の表情や仕草を観察して、次の一手を予測することがあります。それに似たスキルを、私たちも日常生活で応用できるんです」

 

石井さん「仕事にも活かせるんですか」

 

日向さん「役立ちますよ。たとえば、営業先でお客様が何を考えているか、どんな提案を期待しているか。こういったことを心理学的に読み取る方法があるんです」

 

石井さん「それ、めちゃくちゃ知りたいじゃないですか。取引先とのやり取りで相手の本音が分からずいつも苦戦していますもん。何かヒントになりそうな心理学の技法ってあります?」

 

日向さん「たくさんあります。まず簡単なのは、非言語コミュニケーションを意識することです。言葉以外の部分、つまり表情や仕草、声のトーンなんかに注目するんです。例えば、お客様が話を聞きながら腕を組んでいたら、少し警戒しているかもしれないとか」

 

石井さん「そういうサインって、普段あまり気にしてなかったかも」

 

日向さん「他にも、相手に親近感を持ってもらうためのミラーリングという技術があります」

 

石井さん「ミラーリング」

 

日向さん「相手の仕草や話し方を自然に真似することで、無意識に親近感を感じてもらえるんです。将棋でも役立ちます」

 

石井さん「将棋でも?」

 

日向さん「例えば、相手が時間をかけてじっくり考えるタイプなら、こちらもじっくり時間を使ってみる。そうすることで、相手は『この人、自分と似たスタイルだ』と感じて安心することがあります」

 

石井さん「じゃあ、相手が早打ちなら、自分もペースを合わせたほうがいいとか?」

 

日向さん「ある程度はね。でも注意も必要で、相手がこちらを揺さぶろうとしている場合もあるので、冷静に見極めることもしなくちゃいけません」

 

石井さん「深いですね。でも確かに、早打ちされると焦ります。それが相手の狙いだとしたら…」

 

日向さん「その視点がまさに心理学の核心です。相手がなぜそうしているのか、その意図を考えることが」

 

石井さん「営業先でも同じことが言えそうですね。最近、あるお客様が急に予算を理由に契約を渋り始めたんです。でも、本当の理由は別にありそうで」

 

日向さん「そういうときこそ、相手の言葉だけでなく、仕草や表情を観察するんです。そして『もしかして予算以外に気になっていることがありますか?』と、やんわり尋ねてみるのも効果的です」

 

石井さん「たしかに、それなら直接聞くよりも答えやすそうですね」

 

日向さん「そうなんです。心理学は、相手の心を読むだけのことじゃないんです。相手が安心して本音を話せる環境を作る技術でもありますから」

 

石井さん「なんか名言っぽい言葉が出ましたね!」

 

 

今回の学び

相手の心を理解するには、言葉以外の表情や仕草(非言語コミュニケーション)を観察することが重要です。相手の動作やペースを合わせる「ミラーリング」を行うことで、無意識の親近感を生み出し、本音を引き出しやすい環境を作ることができます。