小心者の心理学

職場の会議で意見が言えなかったり、他人の顔色を窺って失敗を過度に恐れたりしてしまう「小心者」な自分に悩んでいませんか?

今回は、ライフ心理学アドバイザーの日向さんと、彼女のかつての職場の後輩である高木さんの対話をお届けします。

仕事熱心ゆえに繊細で悩みやすい高木さんのエピソードを通じて、小心者な自分を否定せず、心理学の視点から強みに変えていくヒントを探っていきましょう。

高木さん「日向先輩、今日はお忙しいところありがとうございます」

 

日向さん「もう先輩って呼ばないで。会社辞めてるんだし。今はライフ心理学アドバイザーなんだから」

 

高木さん「あ、はい、すみません。でも、やっぱり私にとっては頼れる先輩なので…」

 

日向さん「もう、しょうがないわね。それで、今日はどうしたの? また何かモヤモヤしてることがあるの?」

 

高木さん「ええ、実は今日の会議のことなんですけど…。本当は反対意見があったのに、周りの空気を読んでしまって何も言えなかったんです。私って本当に小心者で、そんな自分が嫌になります」

 

日向さん「なるほど。周りの目を気にして、失敗や他人の評価を恐れてしまったのね」

 

高木さん「はい。いつもそうなんです。会議でも新しいプロジェクトでも、最悪の事態ばかり想像してしまって、なかなか大胆に行動できなくて…」

 

日向さん「高木さん、実はそれ、心理学的に見ると決して悪いことばかりじゃないのよ」

 

高木さん「え? そうなんですか?」

 

日向さん「ええ。心理学には『防衛的悲観主義』という言葉があるの。最悪の事態を想定して、それを回避するためにしっかり準備をする能力のことよ。高木さんが不安を抱きやすいのは、リスク管理能力が高い証拠でもあるの」

 

高木さん「私が、リスク管理能力が高い…?」

 

日向さん「そうよ。だから、自分が『小心者』だと思っている部分を、『慎重で周囲への配慮ができる』と肯定的に捉え直してみてはどうかしら? これを心理学では『リフレーミング』って呼ぶの」

 

高木さん「リフレーミング…。見方を変えるんですね。確かに、慎重な性格のおかげで大きなミスを防げたことも何度かありました」

 

日向さん「(嬉しそうに)でしょう? それに、自分の意見を伝えるときも、いきなり大胆になる必要はないの。『アサーション』といって、自分も相手も尊重しつつ意見を伝えるコミュニケーション方法があるんだけど、例えば『私の思い過ごしかもしれませんが…』と前置きをしてから意見を言うだけでも…あ、ごめんなさい! 私、また教えたがりなところが出ちゃって、一方的に話しすぎちゃったわね」

 

高木さん「いえ! 日向さんの話を聞くと、いつも心が軽くなります。もっと教えてください」

 

日向さん「(ほっとして)ありがとう。高木さんは優しいわね。だからこそ、いきなり変わろうとするのではなく、まずは『自分は慎重なんだ』と、そのままの自分を受け入れる『自己受容』から始めてみて。小心者な自分を否定する必要は全くないのよ」

 

高木さん「自己受容…。小心者な自分も悪くないと思えてきました。次の会議では、教えてもらったアサーションを意識して、少しだけ勇気を出して自分の意見を伝えてみます!」

 

日向さん「その意気よ! 高木さんならきっとできるわ。応援してるからね」

 

 

今回の学び

「小心者」であることは、裏を返せばリスク管理能力が高く、他者への配慮ができる「慎重さ」という強みでもあります。自分の特性を否定せずにリフレーミングで肯定的に捉え直し、自分も相手も尊重するコミュニケーション(アサーション)を少しずつ取り入れてみましょう。

日本心理学普及協会メールマガジン