職場での人間関係やチームワークに悩む人は少なくありません。
たとえば、周りの人と比べて当事者意識が低い人がいると、チーム全体の士気や生産性に悪影響が出てしまうこともあります。
本記事では、そんな悩みを抱える若手社員の高木さんと、心理学に詳しい「かつての」先輩社員の日向さんとの会話を紹介します。
高木さんは、新しいプロジェクトメンバーの当事者意識の低さに悩んでおり、日向さんに相談を持ちかけます。
その同僚は、自分の仕事すら他人事のように考えているようです。
日向さんは、心理学の視点から「当事者意識の低さ」の要因や、当事者意識を高めるための具体的なアプローチについてアドバイスします。
2人の会話を通して、職場における人間関係改善のヒントを見つけていきましょう。
日向さん「あれ、もしかして高木さん?」
高木さん「あっ、日向先輩、お久しぶりです」
日向さん「もう先輩じゃないよ。私は会社を辞めちゃってるんだから。ここ、よく来るの?」
高木さん「ええ。今日もちょっと気分転換に…あ、席、空いてますか?」
日向さん「どうぞどうぞ。仕事終わった?」
高木さん「はい…。でも、ちょっとモヤモヤしてて…」
日向さん「何かあった?」
高木さん「ええ…。新しいプロジェクトのメンバーに、ちょっと困った人がいまして…」
日向さん「困った人?」
高木さん「本人は仕事ができると思っているかもしれませんが、自分の仕事すら他人事のように考えているみたいで…。会議でも、ほとんど発言しないし、他のメンバーが困っていても知らん顔なんです。実際、全然仕事ができないんです」
日向さん「それは、ちょっと大変そうね。チームで仕事をする上で、当事者意識って大切なのにね」
高木さん「みんなが当事者意識を持って取り組まないと、結局、一部の人に負担が集中してしまって。私も、最近、その人のフォローで残業続きで…」
日向さん「それは、辛いね。周りの人への影響も大きいし、チーム全体の士気にも影響が出かねないし」
高木さん「正直、『なんで、あの人はもっと積極的に関わってくれないんだろう』ってイライラしてしまうんです」
日向さん「少し心理学的な視点も入れてその人の状態を考えてみると、少し気持ちが楽になるかもよ」
高木さん「心理学…ですか?」
日向さん「ええ。『当事者意識の低さ』には、色々な要因が考えられると言われているんだけど」
高木さん「色々な要因?」
日向さん「たとえば、『自己肯定感の低さ』や『自己効力感の不足』が影響しているかもしれない。『自分は価値がない』『どうせ頑張っても無駄だ』と感じていて、積極的に行動できないケースね」
高木さん「確かに、その人、自信がないように見えるかも。発言を求めても、『自分には意見ないです』って言うことが多いんです」
日向さん「あとは、『防衛機制』が働いている可能性もある。責任やプレッシャーから逃れるために、無意識に当事者意識を低くしている、というケース」
高木さん「責任逃れのために、わざと無関心を装っている、ってことですか?」
日向さん「必ずしも『わざと』ではないかもしれない。本人も気づかないうちに、そういう行動パターンになってしまっている場合もあるから」
高木さん「そうなんですね。でも、このままじゃ、チーム全体に悪影響が出てしまうし、何とかしたいんです」
日向さん「そうね、当事者意識を高めるのは簡単ではないけど、心理学に基づいたアプローチで、少し改善できるかもしれないね」
高木さん「どんなアプローチがあるんですか?」
日向さん「たとえば、『小さな成功体験を積み重ねる』という方法かな。最初は簡単なタスクから始めて、少しずつ成功体験を積み重ねることで、『自分にもできるんだ』という感覚を育むんだけど」
高木さん「小さな成功体験…。確かに、自信がない人ほど、いきなり難しいことを任せるのは逆効果かもしれませんね」
日向さん「あと、『具体的な目標設定』も大切。漠然とした目標ではなく、『いつまでに、何を、どのように達成する』という具体的な目標を設定することで、行動の指針が明確になり、達成意欲も高まるから」
高木さん「目標設定…。確かに、その人、いつも指示されたことだけを、言われた通りにこなしているだけで、自分から何か提案することはないですね」
日向さん「あとは、『コミュニケーションスキルを向上させる』ことも重要ですね。自分の意見や気持ちを伝える練習をすることで、チームへの貢献意欲も高まる可能性がある」
高木さん「確かに…。あの人は、自分の意見を言わないだけじゃなく、他のメンバーの意見にも耳を傾けていないように見えます」
日向さん「『積極的に意見交換をする』『相手の意見を尊重する』 といったコミュニケーションの基本を身につけることで、チームの一員としての自覚も芽生えてくるかもしれないよ」
高木さん「でも日向先輩、今のアドバイスって、私よりも、その…当事者意識の低い同僚に直接言うべき話ですよね?私自身は、どうすればいいんでしょう?その同僚を変えることは難しいだろうし…」
日向さん「あ、そっか。私、その同僚の方に向かって話しているように勘違いしちゃった。ごめんごめん。そうね…。高木さんが、その同僚の方を変えることは、難しいかもね。でも、高木さん自身の考え方や行動を変えることで、状況を改善できる可能性はあります」
高木さん「私自身ができることは何ですか?」
日向さん「たとえば、『境界線を引く』という方法があってね。高木さんが、どこまでその同僚の方をサポートするのか、明確な線引きをするの」
高木さん「境界線…ですか?」
日向さん「ええ。たとえば、『自分の仕事はきちんとこなすけど、その人の仕事のフォローは、この時間まで』と決めておく。そうすることで、高木さん自身の負担を軽減できるし、その同僚の方にも、自分の責任範囲を自覚してもらうきっかけになる」
高木さん「確かに、今のままだと、私が全部フォローしてしまっている状態です…」
日向さん「あとは、『アサーティブなコミュニケーション』を心がけることも大切。自分の意見や気持ちを、相手に配慮しながら、はっきりと伝えるってこと」
高木さん「アサーティブ…?」
日向さん「たとえばね、その同僚の方が、高木さんに仕事を押し付けてきた時に、『申し訳ないけど、今は自分の仕事で手一杯なので、できません』と、断る。曖昧な態度ではなく、自分の状況や気持ちを、きちんと伝えることが大切だよ」
高木さん「でも、うまく断れるかな」
日向さん「もちろん、言い方やタイミングは重要。でも、高木さんが、いつも我慢して、相手の要求を全て受け入れてしまうと、その同僚の方は、高木さんに頼れば何とかなる、と思ってしまい、ますます当事者意識が育たなくなってしまう」
高木さん「私、自分の気持ちを伝えることを、もう少し意識してみます」
日向さん「頑張って!あ、それと…」
高木さん「?」
日向さん「高木さん、1人で抱え込みすぎないでね。困った時は、いつでも相談して。私でよければ、いつでも話を聞くから」
高木さん「はい、ありがとうございます。嬉しいです」
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今回の学び 当事者意識の低さは、自信のなさや防衛本能から来ている場合があります。小さな成功体験や明確な目標設定でサポートしつつ、自分自身は「ここまではやるが、ここからは相手の責任」という境界線を引くことで、健全な関係を保つことができます。 |



