本を読むのが好きなのに、買っただけで満足してしまい、気づけば部屋に本の山が…。
そんな「積読(つんどく)」に罪悪感を抱いたことはありませんか?
今回は、地域のミニコミ誌で編集者として活躍する河野翠さんと、ライフ心理学アドバイザーの日向マユさんのカフェでの対話をお届けします。
「忙しくて読む時間がない」と嘆く河野さんに対し、日向さんが心理学の視点から積読のメカニズムと無理のない付き合い方を紐解きます。
本との新しい向き合い方のヒントが、きっと見つかるはずです。
河野さん「(紙袋を提げて現れ)日向さん、お待たせしました! 近くの本屋に寄っていたら、つい長居しちゃって」
日向さん「河野さん、こんにちは。その紙袋、もしかして全部本ですか?」
河野さん「そうなんです。エッセイとか、仕事のインスピレーションになりそうな心理学の本とか、面白そうなものがあるとつい買っちゃうんです。でも、私……」
日向さん「どうしたんですか?」
河野さん「本を買うのはいいんですけど、最近多忙で読む時間が全然なくて。気づけば家の机が積読の山になっているんです。なんだか本に申し訳ないし、整理もできていなくて罪悪感があって……」
日向さん「なるほど、積読ですね。実は、その『本を買っただけで満足してしまう』状態って、心理学的に説明がつくのよ」
河野さん「えっ、そうなんですか?」
日向さん「ええ。人は『本を買う』という行為そのもので脳からドーパミンが分泌されて、『即時的満足』を得ている状態なの。手に入れた瞬間に達成感を感じてしまうから、読むのを後回しにしがちになるのよ」
河野さん「即時的満足……。確かに、レジでお金を払った瞬間が一番ワクワクしている気がします」
日向さん「それに、知的好奇心が強い河野さんにとって、本を買うことは『新しい知識を得た理想の知的な自分に近づきたい』というポジティブな欲求の表れでもあるのよ。だから、本を買うこと自体は決して悪いことじゃないの」
河野さん「ポジティブな欲求……そう言ってもらえると少し救われます。でも、やっぱり積み上がった本を見ると『読まなきゃ』ってプレッシャーを感じるんですよね」
日向さん「それは『ツァイガルニク効果』が働いているからね。人は達成できたことよりも、未達成の課題の方を強く記憶に留めやすいの。だから、積まれた本が『未完了のタスク』としてプレッシャーになってしまうのよ」
河野さん「ツァイガルニク効果……! だからあんなにモヤモヤするんですね」
日向さん「(熱を帯びて)そう! さらに行動経済学の観点から見ると、『サンクコスト効果』も働いていて、せっかくお金を出して買ったんだから読まないともったいないという心理が……」
日向さん「(ハッとして)あ、ごめんなさい! 私、また聞かれてもないのに教えたがりなところが出ちゃって……。お仕事の合間なのに、煙たかったわよね?」
河野さん「(笑顔で)いえいえ、すごく面白いので続けてください! このお話、ミニコミ誌の次の企画のヒントになりそうです」
日向さん「(ホッとして)本当? よかった。じゃあ、積読をストレスにしないための解決策を一つ提案するわね。それは『リフレーミング』よ。積読の山を『読まなければいけない未完了のタスク』と捉えるのをやめて、『自分の興味関心が可視化されたショーウィンドウ』として捉え直すの」
河野さん「自分の興味のショーウィンドウ……。そう考えると、なんだか積んである本が自分の知的好奇心のデータベースみたいに見えてきました!」
日向さん「そうそう! プレッシャーを手放して、自分が今何に興味を持っているのかを確認するためのツールだと思えば、積読も悪くないでしょ?」
河野さん「それなら気が楽になります! 今度、ミニコミ誌で『積読を肯定する』というテーマで記事を書いてみます。やっぱり心理学って、日常のモヤモヤを晴らしてくれますね」
日向さん「そう言ってもらえると嬉しいわ。日本心理学普及協会の講座でも、そうした日常のちょっとした心理をたくさん扱っているんですよ」
河野さん「へえ、それはすごく面白そうですね! ミニコミ誌の取材も兼ねて、今度詳しく教えてください」
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今回の学び 積読は決して悪いことではなく、知的好奇心や理想を求めるポジティブな心理の表れです。買った本が積み上がっている状態を「未完了のタスク」としてプレッシャーに感じるのではなく、「自分の興味関心のショーウィンドウ」として肯定的に捉え直す(リフレーミング)ことで、本との付き合い方はもっと豊かで楽しいものになるでしょう。 |



