日常のコミュニケーションにおいて、「白い嘘」や誇張表現を目にすることは珍しくありません。
仕事の場面でも、「上司に少しでも良い印象を与えたい」という気持ちから、つい事実を大げさに話してしまう人もいるでしょう。
しかし、こうした「軽い嘘」が信頼関係を少しずつ揺らがせる原因にもなるのです。
今回のエピソードは、営業職の浜田さんが、そんな「軽い嘘」を繰り返す部下との接し方に悩む様子を描いています。
浜田さんと、ライフ心理学アドバイザーの日向さんは、同じカフェの常連。
2人の会話を通じて、「心理学を日常に活かす方法」を垣間見ることができるでしょう。
日向さん「こんばんは、浜田さん。今日も一日お疲れさまでした!」
浜田さん「お疲れさまです、日向さん。いやあ、やっぱりこのカフェは落ち着きますね」
日向さん「そうですよね」
浜田さん「でもね、ちょっと最近気が滅入ることがあって…」
日向さん「何かあったんですか?」
浜田さん「ええ、じつは部下のことで少し悩んでいるんですよ。彼がね、どうも仕事で軽い嘘をよくつくんです。なんていうか、悪意はないんですけど…」
日向さん「軽い嘘ですか。具体的にはどんな感じで?」
浜田さん「たとえば、上司に報告するときに少し誇張することがあって、『このプロジェクトは順調です!』とか、『クライアントも大満足してました!』ってね。正直なところ、全部が本当じゃないのが分かるんです。でも、なんだか指摘しにくくて」
日向さん「なるほど、それは確かに難しいですね。彼の話がどれくらい正確かを確認しないと、後でこちらが困る場面もありますしね」
浜田さん「そうなんですよ。別に悪いやつではないんですけど、なんとなく信用しきれない感じがあって。でも、どう注意すればいいのか悩んでしまって」
日向さん「それでいて、その部下の方も嘘をつくつもりではないのかもしれませんね」
浜田さん「そう思います。おそらく、自分を大きく見せたいとか、僕に少しでもいい印象を与えようとしてるのかもしれません。でも、そういうのってよくないと思うんですよ」
日向さん「わかります。人は無意識に自己防衛のためにそうした『白い嘘』をつくことがあります。『自己イメージ』を守るためにね」
浜田さん「自己イメージ、ですか…?」
日向さん「ええ、自己イメージです。心理学では、自分が他者にどう見られたいかという意識が無意識に行動に出ることがあると言われています。その方の場合、もしかしたら上司である浜田さんに認められたい気持ちが強いのかもしれませんね」
浜田さん「そういうことか。確かに、まだ入社して間もないから、そういったプレッシャーを感じているのかもしれないですね」
日向さん「プレッシャーや期待がかかると、自分の能力や成果を大きく見せたくなるのは自然なことです。でも、そのまま嘘が常習化すると、信頼が崩れてしまいますからね」
浜田さん「そうなんですよ。だからといって、『嘘をつくな』と厳しく言うのも、逆効果になりそうで」
日向さん「確かに。もしよければ、一つ心理学的なアプローチを試してみませんか?」
浜田さん「おお、来ましたね、心理学のアプローチ。でも興味はありますよ。どんな方法ですか?」
日向さん「『アクティブリスニング』といって、相手が安心して話せる環境を作る方法です。彼が無意識に『良く見せよう』とするのではなく、『本音を話しても大丈夫なんだ』と思えるようにするんです」
浜田さん「なるほど、でもどうやって具体的にやるんでしょうか?」
日向さん「簡単に言えば、その方の話を一度受け止めてから質問するんです。たとえば、『クライアントも大満足してました!』と言われたときに、『具体的にどんなところを褒められたの?』とか『次はどんな改善点を考えている?』とつっこんで聞いてみるんです」
浜田さん「なるほど、まず彼の話を否定せず、深く掘り下げる形で聞くわけですね」
日向さん「ええ、そうすると、彼も『もっと正確に伝えないと』という意識が芽生えるんです。そして、次第に話を盛る必要がない、盛らないほうがいいと感じてもらえるかもしれません」
浜田さん「なんだか効果がありそうですね。でも、それだけで変わるんでしょうか?」
日向さん「もちろん、少しずつです。でも、心理学的には『安全な空間』が作られると、人は本音を話しやすくなると言われています。浜田さんが彼の本音を受け入れる姿勢を見せれば、次第に彼も自然体で話してくれるようになるはずです」
浜田さん「ふむ、やってみる価値はありそうですね。つい『どうして嘘をつくんだ?』と問い詰めそうになりますが、それは逆効果なんですね」
日向さん「はい、問い詰めると防衛心が働いてしまい、逆に嘘を増やす結果になりかねませんからね。むしろ、日頃の会話の中で少しずつ信頼を築くのが大事です」
浜田さん「なるほど、日向さんの言う通りですね。ちなみに、このアクティブリスニングって、どこでも使えるものなんですか?」
日向さん「仕事だけでなく、家庭や友人関係でも応用できますよ。相手の話をしっかりと受け止めてあげると、自然と信頼関係が深まります」
浜田さん「そうか、そういうのを普段からできていたら、もっと周りとうまくやれそうですね」
日向さん「そうですね。私も時々忘れてしまいますが、心理学って結局は人との信頼を築くためのツールなんですよね」
浜田さん「なんだか、心理学って少し難しいけれど、面白いですね。ちょっとずつ日向さんに教えてもらってるおかげで、何となく分かってきた気がします」
日向さん「そう言ってもらえると嬉しいです。でも、つい、話し過ぎてしまうことがあるので」
浜田さん「いえいえ、ありがたいですよ。日向さんの話はいつも参考になりますから。また困ったことがあれば相談させてください」
日向さん「もちろんです。私も浜田さんの話を聞くのが好きですから、いつでもどうぞ」
浜田さん「ありがとうございます。それじゃあ、アクティブリスニング、ちょっとずつ試してみますね」
日向さん「ええ、きっと良い結果が出ますよ。焦らず少しずつ信頼関係を作っていきましょう」
浜田さん「はい、頑張ってみます!」
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今回の学び 悪気のない「軽い嘘」は、自己防衛や良く見られたいという願望から生じることがあります。問い詰めるのではなく、安心して本音を話せる環境を作る「アクティブリスニング」を実践することで、信頼関係を再構築し、嘘をつく必要性を減らすことができます。 |



